店頭でシルクを販売していて、度々聞かれる質問で、心底違和感に思うことがあります。
それは、「日本製ですか?」と聞かれること。
日本製とは、縫製を日本でしていることですか?
糸が日本製ということですか?
蚕から日本で育てたものを想定していますか?
もし、すべての工程を日本で行っている純国産を想定しているとしたら、私たちの商品の販売価格の10倍以上はしますし、現に純国産蚕からできる生糸はなんと市場の0.16%です。
養蚕・蚕糸業の発展を目的とする大日本蚕糸会によると、国産の繭生産量は養蚕業の従事者の高齢化により、激減していて、2023年養蚕農家戸数は146戸です。2000年には3280戸ありました。
https://senken.co.jp//posts/nss-240808
これだけ国産繭が減少している中で、国産シルクは特別な着物などに使用される以外、正直あまり市場に出回らないと思います。
他ブランドのことは詳しくは知りませんが、「国産シルク」と銘打っているところはきっとシルク糸や蚕を中国やブラジルから仕入れて、縫製工場を日本としていることがほとんどだと思われます。
実際に私たちの商品も国産シルクを使用しているものがたくさんありますが、国産だから優れているということはあまり意識していません。もちろん、工程にもこだわった国産シルクを使用したBody Towelなどもありますが、在庫がいつも少ないのが現状です。
シルクに関して言えば、もし国産にこだわって価格がお客様のニーズとそぐわない物であれば意味がありませんし、Made in Chinaになっていても品質はとてもいいものがあります。ar*では、そのバランスをうまく見極めて、商品に落とし込んでいます。
だからこそ、「どこのシルクですか?」この一つで商品を選ばないでほしいと思うのです。
これだけグローバル化した世界で、どこ産か問うというのは非常に難しい問いです。
フランスの某ビッグメゾン、誰もが名前を知っているようなブランドもヨーロッパ製になっていますが工場で働いている人々は中国出身だったり、逆に中国製だったとしても日本人が丁寧に縫製を教えて日本のクオリティを超えるところもあります。
人の国籍と同じように、国というよりはその人のアイデンティティや性格で見るように、商品もそのクオリティそのものや、ブランドキャラクター(アイデンティのようなもの)を自分の目で見極めて、納得したうえで買うのが最適だと思います。
私たち、販売者は企画段階から携わり、どこのものを使用して価格に落とし込んで、手に取りやすい価格でシルクをお届けしたいという気持ちを大切にしています。
Azusa